天理市在住のUさん、40代前半の女性です。
当院をよくご利用いただいております。
本日は体調不良でご来院になりました。
数日前より節々の痛みや咳、体のだるさがあるようです。
昨日は予定していた行事をキャンセルして寝込んでいたということでした。
私:「それって風邪と違いますか?」
Uさん: 「とくに熱はないし、体がだるくて・・」
風邪の走りかもしれませんが、とりあえず診ていくことにしました。
Uさんは、もともと体が丈夫な方ではありませんでした。
精神的ストレスもかかえておられ、冷え性です。
お腹を触診してみるとあちこち硬くなっていました。
これでは血のめぐりも悪いでしょう。
いつもは精神的ストレスからお腹にきていたのですが、今回は少し診方を変えてみることにしました。
それは首の筋肉の緊張です。
首は脳と体幹をつなぐたくさんの神経や血管が通るところです。
それを喩えるなら太平洋とカリブ海を結ぶパナマ運河のような海運の要所です。
血管や神経は筋肉の中や、筋肉と筋肉の間を通っています。
首の筋肉が持続した緊張状態にあれば、筋肉内には老廃物が溜まってやがて硬くなり、血管や神経を圧しつぶしてしまうのです。
とくに脳の延髄(えんずい)から出ている迷走神経は、内臓の各所に延びている神経です。
首が硬くなることで迷走神経が圧迫されて、神経の伝達がうまくいかなければ、当然、免疫系統や内臓の不調も出てくるわけです。
そこで、迷走神経や血管の通り道を意識して首を触診して診ました。すると、あちこちに筋膜との癒着やズレがあったのです。
それを丹念に取り除いていきました。
すべての首の異常を取り除いて、もう一度腹部を触診してみると、最初に確認した異常がすべてなくなってお腹が柔らかくなっていました。
これは盲点でした。
これまで精神的ストレスが原因だとばかり、私の先入観で見逃していたようです。
Uさんは調理の仕事で手をよく使うので、首の緊張はおそらく手の使い過ぎによるものでしょう。
それとは別に、首や腋(わき)のリンパの流れにも異常が多数みられたので、やはり風邪の走りだったのかもしれません。
免疫が落ちていたようです。
免疫系統も活性化して、今回はこれで終わりました。
次回、どのような変化があるか確認してみたいと思います。